家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています

「おかえりなさい!」

 玄関では、自分で鍵を開けて入ってきた巳影が、靴を脱いでいた。

 グレーのスーツは夏物にしたものの、今日は晴れで良い天気だったので、少々暑そうだ。

「ただいま」

 顔を上げて明莉を見た巳影が笑みを浮かべる。

 その笑みがなんだかいつもより嬉しそうだ、と明莉の目には映ったが、理由はすぐにわかった。

「はい、これ。一ヵ月だからな、お祝いに」

 微笑を浮かべた巳影から、片手に提げていた白い箱を差し出される。

 明莉の目は真ん丸になった。

 意外な贈り物だ。

 きっと中身はスイーツだろう。

 でも理由はすぐにわかった。

 今日で一緒に暮らして、一ヵ月だ。

 覚えていてくれたし、こんなお祝いまで……。