家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています

 そこまで考えて、明莉はハッとした。

 自分の思考に恥ずかしくなる。

 確かに巳影が抱いてくれる『プロポーズをしたくなるような想い』……つまり恋愛の気持ちはまだない。

 ……ないはずだ。

 それでも巳影のことを一人の人間として、そして自分の家族として、魅力的に思っていることは本当だ。

 それはつまり、形は違っても『好き』という感情は存在することになる。

(な、なんかくすぐったいかも)

 さらに恥じ入ってしまった。

 自分がとても単純なように感じられる。

 でも明莉にとっても、辛いときに優しくされたから、この結婚を受け入れたわけではない。

 なんとなく、巳影といると心地良い、と本能的に感じるのだ。

 それは明莉の個性である『嗅覚が鋭い』が関係しているのかもしれない。