家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています

 家の中が心地良いのはもちろん、広くて設備が充実しているからではない。

 巳影が一緒にいて、居心地良く感じられる相手だからだ。

「そうかも。うん、そうだなぁ」

 明莉は曖昧に肯定したあと、思い直した。

 もう少しはっきりした肯定を口に出す。

 美花もその反応を見て、にこっと笑う。

「式は挙げないって聞いたけど、今度、ご祝儀を用意するね」

 それで優しいことを言ってくれる。

 明莉はちょっと慌てた。

「えっ、お気遣いなくだよ……。でも、ありがとう」

 気を遣わせてしまうけれど、嬉しいのは本当だ。

 だからはにかみながらも、お礼を言う。

「でも『巳影さん』かぁ。私と少し名前が似てるね」

 たくさん話すうちにお茶がなくなったので、もう一杯、おかわりを頼む。

 新しくやってきたアイスのハーブティーをひとくち飲んで、美花が少し違うことを言った。

 明莉も同じハーブティーのグラスを手に取って、頷く。

「そうそう。初めて名前を聞いたとき、美花を思い出しちゃったの」