家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています

(だけど祖父にも安心してもらえるだろう。その点は良かった)

 大切な祖父のことを頭に思い浮かべつつ、巳影は席を立とうとする。

 そこでスマホが小さく鳴った。

 メッセージの受信音だ。

『わかった! 明日の朝と夜は食べるかな?』

 明莉からだ。

 巳影の頬は緩んでしまった。

 座り直して、スマホを手に取る。

 メッセージアプリを開いた。

『食べるつもりだ。よろしく頼む』

 端的な返信を打つ。

 それでも夫婦としてのぬくもりあるメッセージである。

 彼女とこういう何気ないやり取りをできるのが、一番特別で幸せなことなのだ。

 噛みしめながら、巳影はスマホをスーツのポケットに入れて、改めて立ち上がり、社長室を後にした。