家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています

(本当にまったく覚えられていなかったのは、少し残念だが……。自分で言った通りだ。これから好きになってもらえればいい)

 思い出しているうちに、祖父と会う時間が近付いていた。

 予定外だが、せっかく今日会って、食事をするのだ。

 祖父にも今の生活の話をしておこうと思う。

(急に『結婚する』なんて言って、驚かせてしまったがな……すまなかった)

 数日前、明莉との件を祖父に報告した。

 もちろん大いに驚かれたが、最終的には「お前に家族ができるなら、望ましい」と言ってくれた。

 それで「来月、直接お会いしてご挨拶しよう」とも言われた。

 巳影がまだ高校生の頃に、両親は離婚していた。

 巳影は母に引き取られることになり、名字も変わった。

 そして大学時代から、女社長の母に仕事を教わり、次期社長としてステップアップしてきたのだが、その母は数年前に病気で急逝した。

 それ以来、母の父である辰巳に支えられ、巳影がこの会社の取締役を務めている次第だ。