家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています

「お酒を飲むときは、同量の水を飲んだほうが良いですよ。美味しく味わうならなおさらです」

 微笑を浮かべて、説明した。

 すぐにエプロンをかけた中年男性のバーテンダーが、水のグラスを彼女の前へ出す。

「泉谷さんは、相変わらず面倒見が良いですね」

 苦笑しつつそう評したバーテンダーのほうを、明莉はやはり不思議そうに見た。

「常連さんですか?」

 次に巳影のほうを見てくる。

 バーテンダーは穏やかに肯定した。

「はい。よく来てくれる方ですよ」

 そのやり取りで、明莉は多少、巳影に心を許してくれたようだ。

 隣同士で飲むことになった。