家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています

「もちろんです。辰巳相談役のお好みのお店を予約いたしました」

 高城は抜かりのない返事をした。

「ありがとう」

 巳影も軽くお礼を返す。

 そのまま彼女は次の仕事のために、退室した。

 一人になった巳影はパソコンに向き直ったが、そこで思いつく。

(『今日は夕食がいらない』と言っていなかったな。連絡しておくか)

 明莉のことを思い出したのだ。

 引っ越し以来、明莉は巳影の家のことを一手に担ってくれた。

 料理は得意だと言っていただけあって、明莉がだいぶ家に慣れた今では、朝と夜に美味しい食事を用意してくれる。

 室内も、元々、ハウスキーパーが入っていたので片付いていたほうではあったが、さらに綺麗になったように見えた。

 三日ほど前からは、明莉の仕事も納めることになったので、余計に家のことを頑張ってくれている。

『今日は祖父と夕飯を食べて帰る』

 スマホでメッセージアプリを開き、入力した。

 送信ボタンを押せば、明莉とのトーク画面に入力した言葉がそのまま表示された。