家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています

「困ったものだ。まぁ、わかった。朝一番に出すように言っておいてくれ」

 巳影はキーボードを打つ手を止めて、小さくため息をついた。

 作業が押すけれど、ミーティングは午後からだ。

 朝一番にもらえれば、一通り目を通す時間くらいはあるだろう。

「かしこまりました」

 釘を刺したい、という巳影の意図は高城も読み取っただろう。

 淡々とした様子で答えた。

「十六時からは、辰巳(たつみ)相談役がお見えになります。その後は……」

 高城の淡々とした報告は続く。

 このあとの予定を話し始めた。

 巳影も把握していた内容の確認だ。

「ああ、食事だな。もう店は押さえてくれたのか」

 軽く答えて、質問した。

 巳影の会社は、十七時が仕事の定時だ。

 定時の前というタイミングに祖父・辰巳が訪ねてくるのは巳影の言った通り、食事に行くからだ。

 軽く報告とミーティングをしてから向かうなら、ちょうど良い時間である。