(完結)家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています

「はい」

 巳影が振り向き、入口へ近付く。

 開けると、立っていたのは美花だ。

 白いコート姿の美花は、ピンク色の花束を抱えている。

 ちょっと気が引けた顔だ。

「ごめんなさい、早く来すぎちゃいましたか……?」

 そんな控えめなことを言うけれど、明莉の顔はさらに明るくなった。

 もちろん巳影も同じ表情をする。

「そんなことないよ! ありがとう、ぜひ対面して……!」

 だから明莉はすぐにそう答えたし、美花も安堵した笑みになった。

 静かにドアを閉めて、近付いてくる。

「お邪魔します。……わぁ……! かわいい……!」

 明莉の元で、莉奈を目にした美花が、感嘆の声を上げる。

 その場の優しい空気が、さらに増えたのを明莉は肌で感じ取った。



 これからも、今、ここに来てくれた人たちが、きっと自分たちを見守ってくれる。

 巳影と明莉の愛の証は、二人以外からもたくさん愛してもらえるのだ。

 たくさんの愛に囲まれた娘を、明莉は軽く抱きしめた。

 その肩に巳影がそっと手を置き、包み込む。

 巳影と明莉、二人の愛はこれからも続く。

 明莉の腕の中の莉奈を加えて、その絆はさらに大きく、固く結ばれた『家族』になることだろう。


(完)