(完結)家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています

「こっちです」

 挨拶も済んだあと、巳影がベビーベッドのほうへ、辰巳と祖母を案内する。

 明莉はちょっとドキドキしながら、ベッドでその様子を見守った。

「……おお! なんと愛らしい……」

 ベビーベッドを覗き込んだ辰巳が、小さく声を上げた。

 感嘆がたっぷり含まれた声だ。

 隣で同じようにベッドを覗き込む祖母も、目元を崩している。

「巳影が産まれたときのことを思い出すわねぇ」

 懐かしむ声で、優しく言う彼女に、辰巳も力強く頷いた。

「ああ。あのときと同じ感動だな」

 やがてベッドの子は、明莉の腕に移った。

 おくるみにくるまれた子は、目を閉じて、すやすや眠っている。

 明莉は両腕でしっかり、優しく包み込んだ。

「せっかくなので、名前をここでお伝えして良いですか?」

 そこで巳影が提案した。

 ベッドサイドに立ち、明莉に視線を向けてくる。