(完結)家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています

「そうだと嬉しいな」

 軽く目を見張った巳影も、目元を緩めた。

 優しい声で言い、動いたお腹を、改めてそっと撫でる。

 お腹の子に伝えるように、小さな声で呟いた。

「ママときみのことは、パパが必ず守るよ。だから安心して、来てくれよな」

 明莉のお腹を撫でながら、中にいる子に向かって話す。

 穏やかで小さな声ながらも、明莉の胸はじんわりと熱くなった。

「ありがとう」

 短く、しかし噛みしめる響きでお礼を言った。

 巳影は視線をお腹から明莉の顔に移して、ふっと笑う。

 そして今度は、明莉の肩に触れた。

 自分から移動して、体を寄せる。

 大きな手と、太い腕で、しっかり肩を抱き込んでくれた。

「約束だ」

 そうして誓うように言われるから、明莉の胸はもう、いっぱいになってしまう。

 目を閉じて、力を抜いた。

 巳影の肩にもたれる体勢になる。

 くっついた部分と、抱かれた肩から、巳影のぬくもりがたっぷり感じられる。

 彼の持つ想いも同時に伝わってきた。

 こんなに優しくて、とても強い巳影がいてくれるなら、自分も、この子も、本当に安心して出産に臨めるだろう。