(完結)家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています

「そうだよ。ミカくんのおじいさまとおばあさまが、お庭のお花を分けてくださったの」

 今度は美花にソファを勧めながら、説明する。

 先日、辰巳が届けてくれたものだ。

 辰巳の住む屋敷はかなり広いから、色々な木や花が植えられている。

 その中のひとつ、椿を少し切って、持ってきてくれた。

 季節感が溢れる素敵な贈り物に、明莉も巳影も嬉しくなってしまったものだ。

「綺麗だねぇ。寒い中でも強く咲く花、っていう印象も良いよね」

 美花も気に入ってくれたようで、チェストの前に立って、しみじみと見つめながら言った。

 どうやら美花は、辰巳からの意図まで想像したようだ。

「うん、私もそう聞いたの」

 だからつい笑顔になってしまう。

 寒い中でも強くあれるように……妊娠中の明莉が、寒い中でも無事に出産できるように。

 きっと、そんな願いが込められた贈り物だ。

「素敵なおじいさまとおばあさまだね」

 明莉を振り向いた美花も、優しい笑みを向けてくれた。