(完結)家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています

 戸惑う巳影と明莉の横で、司会が丁寧に文面を読み上げた。

『ご結婚おめでとうございます。末永く、お幸せに』

 内容はそれだけだった。

 お祝いの言葉としては、だいぶ短い。

 それでも確かに父からの気持ちで、気遣いだ。

 耳にした巳影の気持ちはやがて、驚きと戸惑いから変化する。

 胸の奥が一気に熱くなった。

 体もじんわり熱を持つ。

「父さん……」

 つい呟いていた。

 繋がりなんて、もうないと思っていた。

 あるとしても、切れてしまいそうな、細い糸のようなものだと思っていた。

 だけど確かにここにある。

 そう思い知って、巳影の喉奥に、熱い感情が込み上げた。

 ここまでいくら心震えても耐えられた涙が、目元にじわりと滲む。

 そのくらい、父からの言葉は衝撃だった。

 格好悪いけれど、涙が堪えられなくても仕方がない。