(完結)家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています

 驚いた出来事が起こったのは、ケーキを来賓に配り終えたあとのことだった。

 来賓がケーキを食べながら聞けるように、スピーチや祝電を読む時間にしたのだが、祝電の中に、思いがけない一通があったのだ。

「続いて、新郎・巳影さんのお父様からです」

 壇上に座っていた巳影は、司会の紹介を聞いたとき、耳を疑った。

 まさか父から祝電があるなんて、予想外だった。

 隣の明莉も目を丸くしていた。

 彼女にとっても、もちろん予想外で、驚きだろう。

 巳影の父は、今日の式には不参加だった。

 一応、住所は知っていたので、巳影は数ヵ月前にハガキを出していた。

 だがそれに対する返信はなかったのだ。

 ただ、巳影も父からの反応は、最初から期待していなかった。

 母との離婚経緯のことも、それ以来、自分とほとんど関わりがなかったことも、両方考えれば、それで自然だと思った。

 なのに、祝電が来るなんて……。