(完結)家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています

 写真の中の母は、穏やかに微笑んでいる。

 まるで巳影と明莉の晴れ姿を、ここで見守ってくれているようだ。

 挙式前に顔を合わせた辰巳と祖母がこの写真を見せてくれたとき、巳影は涙が込み上げるのを、堪えなければいけなかった。

 母に見守ってもらえるのも、祖父母の気遣いも、両方嬉しい。

「巳影、おめでとう」

 テーブル前で挨拶すると、辰巳が椅子から立って、お祝いを言ってくれた。

 隣に祖母も立つ。

 巳影と明莉も、その丁寧な態度に相応しいよう、深く礼をする。

「ありがとうございます。今日まで育ててくれて……そして明莉とのことを見守ってくれて、感謝しています」

 巳影が心から述べたお礼のあとは、明莉が続けた。

「おじいさま。おばあさま。これからはより、お世話になることと思います。まだ至らぬ私ではありますが、どうぞよろしくお願いいたします」

 事前に考えていたのだろう。

 とても丁寧で、それ以上に心のこもった言葉だ。