家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています

 挨拶も済んで、彼……巳影は明莉を室内へ案内してくれた。

「ここがリビング。設備も自由に使っていいし、好きに寛いでくれ」

 まず通されたのはリビングだ。

 明莉は目を丸くしてしまった。

 広さだけでも十畳以上はありそうだ。

 大きな窓には紺色のカーテンがかけられており、真ん中には長いローテーブルがある。

 床にも紺色のラグが敷いてあった。

 黒いソファも大型で、三人以上座れそうだ。

 壁には大きなテレビ、本棚、チェスト……など、普通の家具も揃っていた。

「広い……ですね」

 どこから褒めていいかわからず、無難すぎることを言ってしまったが、巳影は単に笑みで返した。

「そうか? ありがとう」

 それで次々と家の中を説明してくれる。

 四人掛けのテーブルセットがあるダイニング、システムキッチン。

 大型の浴槽があるお風呂、広々としたトイレ……。

 最後に連れられたのが、明莉のための部屋だった。

「良いんですか? 一室お借りするなんて……」

 部屋の前でためらってしまったが、巳影はしれっと答えた。

「どうせ余っていた部屋だ。女性なんだし、私室はあったほうが良いだろう?」

 そう言われれば辞退もできない。

 まだ少し戸惑う明莉の前で、巳影がドアに手をかけて開ける。