家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています

 予行演習で聞いていた返答なのに、本番の場で聞けば、巳影の胸は一気に熱くなった。

 短い返答の中に、明莉の想いを強く感じられたのだ。

「では、指輪の交換を」

 続いて指輪を交換する。

 巳影が先に、白いリングピローから、明莉へのリングを取り上げた。

 白いシルク生地と、たっぷりのフリルでできたリングピローは、子どもが生まれてきたときのファーストピローになる予定だ。

 明莉からの提案だったが、そんな特別なアイテムを式で使えることに嬉しくなり、巳影もすぐに前向きになった。

 結婚指輪はプラチナ製だ。

 銀の色合いが美しく、裏には巳影と明莉のイニシャルを掘ってもらった。

 世界にひとつだけの、とても大切なリングを巳影は丁寧に手で持ち、手を伸ばした。

 その前で、明莉がはにかみながら、左手を出す。

 巳影はそのやわらかい手を取り、そっとリングを通した。

 事前に計測していたので、リングは明莉の手にぴったりと収まった。