家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています

「明莉……」

 改めて明莉を呼ぶ。

 明莉はちょっと目をまたたいたけれど、すぐに意味を察したらしい。

 ちょっとはにかんだように頬を緩め、それでもそっとまぶたを閉じる。

 巳影は彼女に顔を寄せて、小さくてやわらかなくちびるに、自分のくちびるを合わせた。

 しっとりと重ねて、感触を味わう。

 今度は視線と言葉だけではなく、触れた感覚からも、彼女との愛を実感できた。

 つい何分もキスを続けてしまったくらいだ。

 そのうち、明莉がちょっと息苦しそうになるので、静かに顔を引く。

 明莉はキスで上気した頬をしていた。

 巳影の心臓が、とくとくと反応する。

 今すぐ、もっと深く彼女に触れたい、という気持ちが膨れ上がった。

 でも今は、少しお預けだ。

「春になったら、明莉にたくさん触れるからな」

 惜しい気持ちはたくさんあるものの、待つのも良いものだ。

 だから巳影は少し茶化すように、言った。