家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています

「ミカくん、いつも『約束』って言ってくれるね」

 そのとき明莉が、ふと言った。

 巳影は不思議に思う。

 確かに自分は今、そう言ったけれど……?

 巳影が『思い当たらない』という顔をしたからか、明莉は笑った。

 今度の笑みは、どこか遠くを見るような、懐かしそうな表情だ。

「同級生だったって知ってから、ミカくんとのやり取りをいくつも思い出した。『約束だから』って言ってもらえて、嬉しかったこともね。例えば本を借りたときとか……」

 そこまで説明されて、巳影も思い出した。

 確かにそんなやり取りをしたことがあった。

「……ああ。お香やフレグランスについての本か。確かにそんなことがあった」

 少し考えて、口に出す。