家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています

(side 巳影)


 帰宅後、それぞれお風呂に入り、ようやく完全に落ち着けた。

 あとから上がった巳影は、リビングのソファに座っていた明莉に近付き、手を伸ばす。

 横に座ってすぐに、しっかりと抱きしめた。

 明莉も巳影からのハグをすんなり受け入れる。

 あちらからも、巳影の背中に腕を回してくれた。

「明莉……本当に、良かった」

 ぎゅっと明莉を抱きしめ、巳影はしみじみと言う。

 部屋着越しに伝わる彼女の体の感触、ぬくもり、香り……。

 すべてから、彼女が今、ここにいてくれるのを知り、巳影の胸に、深い安堵が溢れた。

「うん。ミカくんと美花のおかげ……」

 巳影の胸に頭を預ける明莉の声も、完全に落ち着いていた。

 穏やかで、この幸せを噛みしめるような響きで言ってくれる。

 巳影は明莉のやわらかい背中を抱きながら、ぽんぽん、と軽く叩いた。

「それもあるが、明莉も頑張ったじゃないか。あんな恐ろしい思いをしたのに、よく耐えてくれた」

 しみじみと口に出す。