家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています

 恐怖と不安でいっぱいだった明莉だが、その言葉には、カッとお腹の底に怒りが弾けた。

 こればかりは完全に言いがかりだ。

 そんな事実はないし、これは単なる……。

「やめろ」

 明莉の怒りが明確になりそうになったそこで、太い声が挟まった。

 圭二が言葉を切る。

 明莉がなんとか視線を動かすと、圭二の眼前まで、巳影が迫っていた。

 上から見下ろす形で、突き刺すような視線を圭二に注いでいる。

「それ以上、明莉を侮辱してみろ。ただではおかない」

 巳影の様子は鬼気迫っていた。

 明莉の頭に浮かんだ通りの指摘を、きっぱりと言った。

 そう、これは大きな侮辱なのだ。

 巳影の言葉と様子を見て、圭二がさすがに息を呑む。

 言葉を発するどころか、蛇に睨まれた蛙のようになった。

 視線で圭二を捕えた巳影は、強い怒りの滲んだ声ながらも、淡々と説明する。

「結婚の順序についてはその通りだが、俺は最初から明莉に想いを持っていた。だからそのことに後悔なんてしていない。引け目もない。親御さんに話せと言われるなら、全部話そう」