家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています

「美花さん、それは例の……」

 巳影がさりげなく立ち位置を変えた。

 そうしながら美花に質問する。

 明莉はオートロックの中にいるから、差し当たって危険なのは美花のほうだとすぐ察したらしい。

 今の圭二なら、やけくそで、女性である美花に手を出す可能性もあるからだ。

 美花を守るように、前へ立つ。

「はい。妊娠期間について、私たちの話を聞かれてしまった件です」

 巳影の質問に、美花は頷く。

 どうやら巳影は、美花からあのときの出来事を伝えられていたようだ。

「っんだよ、本当だろ! 俺は見てたんだからな、俺と別れた翌日には、こいつ、この男とホテルに入りやがったんだ!」

 圭二が噛みつくように言った。

 明莉のほうに視線を向け、キッと睨みつけて言い放つ。

 明莉の心臓は再び冷えた。

 ドクドクと嫌な鼓動を繰り返す。

 まさか、ワンナイトの夜、圭二が見ていたなんて……。

 つまりもうひとつ、圭二に有利な件ができてしまったのだ。

 動揺と恐ろしさで、吐き気まで込み上げそうになる。