家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています

 でも巳影はしれっと一蹴した。

「証拠ならある。お前を見付けたときから録音ボタンを押していたからな」

 ポケットからスマホを取り出し、圭二に向けた。

 きっと圭二には『録音中』の画面が見えているだろう。

 グッ、と圭二が喉を詰まらせた。

「……っ、んなもん、今すぐぶっ壊して……」

 そうして足を踏ん張り、前へ踏み出そうとする。

 だがそこで、別の声がした。

「録音ならもうひとつあるけど、同時に壊せるかな?」

 静かな声だ。

 明莉はハッとしたし、巳影と圭二も同時にそちらを見た。

 二人が動いたことで、明莉の視界にもそこに立つ人物が見える。

 仕事に行ったはずの美花だった。

 仕事用のコートを着て、通勤バッグを持っている。

 手には彼女のスマホが握られていた。

「美花……」

 明莉は呆然と呟いた。

 どうして彼女がここにいるかわからないが、圭二にとってさらに不利な状況になったのはわかる。