家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています

「お前、沼木 圭二だな。近頃、明莉の隙を狙っていたらしいじゃないか」

 静かに切り出し、的確に圭二の名前を言い当てる。

 圭二の動揺した様子は強まった。

「そ……それがなんだ! こいつをたぶらかして、かっさらったくせに!」

 睨みつけるように明莉に視線をやる。

 明莉は再びビクッとしてしまったが、その言葉は巳影が切り捨てた。

「それは時系列が違う。明莉を捨てたのはお前だよな?」

 もちろんその通りだ。

 圭二は黙り込む。

「ここで会うとは思わなかったが、それならここで捕まえるだけだ。明莉に対する付きまといと脅迫で、これから一緒に警察へ行ってもらう」

 巳影は淡々と続けた。

 強い怒りが滲んでいても、彼の言葉は論理的で、順序立っていた。

 圭二が改めて息を呑む。

「そんなこと……するもんか! 大体、証拠もないだろ!」

 とっさにという様子で、一歩引いたが、それでも言い返す。