家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています

 だがそれは圭二を刺激したらしい。

 この状況でスマホを出せば、用途なんてひとつしかないからだ。

「おっと、あんまり俺をナメるんじゃねぇぞ。通報でもしてみろ、後悔させてやる。お前に手を出せないなら、お前の親がターゲットだ」

 圭二が急いだ口調で言った。

 スマホの画面をなんとかつけた明莉だが、手が止まってしまう。

 心臓が冷凍庫に放り込まれたように、冷たくなった。

(親……、今、ここで行かれたら、お父さんやお母さんに……!?)

 通報のために電話をかければ、圭二はここを離れて明莉の実家へ向かうだろう。

 父は仕事に行っているだろうが、母は家にいるはずだ。

 まさかこんな事態とは思わないから、なにも疑わずに応答してしまうかも……。

 考えただけで、血の気が引いた。

「お前、親に対して隠してることがあるよなぁ。例えば、腹のその子ども。旦那と結婚するだいぶ前にデキてたんじゃねぇの?」

 明莉の反応に、圭二は笑みを濃くした。

 そうして指摘されて、明莉の心臓も体も凍りついた。

 なぜ圭二がそんなことを知っているのか……でも本当のこと……。