家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています

「お邪魔します……」

 一週間後。

 明莉はタワーマンション内の最上階、一室の玄関で、おずおずと挨拶を呟いた。

 手には最後の荷物を詰めたボストンバッグを持っている。

「今日からきみの家でもあるんだぞ。『ただいま』でいい」

 なのに迎えた彼は苦笑気味に言った。

 ドアを広く開けて、明莉を迎え入れてくれる。

 今日は土曜日なので、休みらしい。

 襟付きシャツに綿パンツを合わせたカジュアルな格好だ。

 髪型も少し違う。

 今日はワックスなどで固めていないようで、軽くセットだけしたという自然なスタイルだ。

 素の状態は、ややふわっとした髪質のようだ。

 ホテルで会ったときは「休日出勤なんだ」と言って、明莉を家まで送ってくれたあとは、仕事へ行っていたから、あれは平日のスタイルだったらしい。

 素の顔はこちらということである。

 ホテルに横付けされた黒塗りの高級車の持ち主である彼は、会社社長だと自己紹介した。

 それだけでも明莉は仰天したのに、彼の勤める……いや、所有する会社は『ホーム・ルミナレス』。

 よく広告やCMで目にできる、大手住宅メーカーだ。