家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています

 起き出して、床のクッションに座った明莉が見れば、美花が並べていくのは和食の朝食だ。

 自分が感じたのは、味噌汁の味噌の香りだったようだ。

 お椀からは、優しい香りと湯気が漂っている。

 食欲もしっかり湧いてきた。

「ありがとう。なにからなにまで……」

 お礼を言ったが、美花はやはり、優しく笑った。

「いいって。さ、ちゃんと食べないとね。いただきまーす!」

 そう言って、率先して箸を取る。

 明莉もつられて笑みを浮かべることができた。

「そういえば、昨日電話が鳴ってたよ。何度も……」

 白ご飯に味噌汁、玉子焼きに蒸し野菜といった、シンプルながらも優しい味の朝食を摂るうちに、美花が思い出したように言った。

 明莉は驚く。

 まったく気付いていなかった。

 それほどぐっすり眠っていたらしい。

「きっとミカくんだ……。気付かなかったなんて……」

 スマホを置いていたミニチェストのほうを振り返る。