家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています

 ベッドの近くにある座椅子へ向かう美花は、笑顔だ。

 ほっとした、という顔をしている。

「うん。ぐっすり寝ちゃったみたい」

 意識がほぼ通常に戻った明莉は、そっと布団を出て、ベッドの端に腰掛けた。

 その明莉の肩に、美花が座椅子から取ってきたブランケットをかけてくれる。

 室内は暖房が効いているが、それでも寝起きだからと気遣われたのだ。

 それに昨夜は美花の部屋着を借りて、ベッドまで借りてしまった。

 美花は床に客用布団を敷いて寝たのだ。

 もちろん明莉は「自分がそっちでいい」と恐縮したのだが、美花に「妊婦さんを床で寝させるわけがないでしょ」と押し切られたのだ。

 そういう優しい友達だ。

「朝ご飯、できたよ。食べよう」

 明莉ににこっと笑ってみせて、美花は改めてキッチンのほうへ行く。

 すぐにトレイに乗った朝食が運ばれてきた。