家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています

 明莉も時計を見上げると、時間はそろそろ十九時半になろうとしていた。

 いつの間にかこんなに時間が経ってしまったのだ。

 今日はとても自宅には帰れない。

 だから甘えてしまう形になるけれど、有難かった。

「甘えちゃっていいなら……。ごめんね、明日も平日なのに」

 気が引けながら言った。

 でももちろん美花は、明るく一蹴した。

「気にしないよ。友達でしょ? 助けるに決まってるよ」

 そんなふうに言ってくれるから、明莉の目元に、今度は違う意味の涙が湧き上がる。

 自分が頼れるのは巳影や両親だけではない。

 この優しい親友だって、自分をとても大切にして、助けてくれるのだ。

「ありがとう……!」

 ぽろっと涙が零れてしまう。

 どこかあたたかなそれを拭って、明莉はお礼を言った。

 その明莉の肩を、美花が改めて、そっと抱く。

「巳影さんが帰ってくるまで、うちにいて。明莉の安全が一番だからね」

 勇気づけるように言われるから、明莉は涙が止まらないながらも頷いた。

 自分は独りではない。

 だからきっとこの状況だって、なんとかできる。

 そう思えた。