家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています

「……うん」

 彼女の気遣いが染み入って、明莉の目に、じわっと涙がまた滲んだ。

「とりあえず、話だけでもしなよ。聞いた結果、どうするかは巳影さんに決めてもらったら?」

 そんな明莉に、美花は勇気づけるように、声を少し明るくした。

 無理に明るくしたものだけど、明莉はそれが彼女からの優しさなのだとよくわかった。

 それに美花の提案は現実的で、妥当だった。

 少なくとも、自分の身に起きていることは報告するべきだ。

 隠すほうが、美花の言った通り、巳影は傷つくだろう。

「……そうだね。そうする」

 だからうつむいていたところから顔を上げて、強張った頬を意識して緩めた。

「うん。巳影さんがいるから、明莉は絶対大丈夫だよ」

 美花もほっとしたようだ。

 ぽんぽん、と肩を優しく叩いて、そう言ってくれた。

 励ます言葉と手つきに、明莉の心はわずかながらも、落ち着いてくる。

「そろそろご飯を食べようか? あるものでなにか作るよ。泊まっていくでしょ?」

 気分を変えるように、美花が明るく言った。