家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています

 美花も明莉の気持ちはわかるだろう。

 困った顔になった。

「そっか……。帰りを早めてもらうとかは……」

 そう提案してくれたけれど、明莉の顔は、くしゃっと歪んだ。

「無理だと思う。お仕事だから……。それに、私の事情で仕事を中断させるなんて……」

 本当なら美花が言ってくれたようにしたい。

「困ったことがあったから、助けて」と連絡したい。

 でもそれは巳影の仕事の妨げになる。

 仕事だって、巳影にとって、大切なものだ。

 職業としても、自分の持つ企業としても、とても大切にしているのを知っているから。

「そうだけど……。でも巳影さんだって、私と同じで明莉をとっても大切にしてるんだよ。明莉になにかあったら、そのほうが後悔するんじゃないかな?」

 美花はさらに困った顔になる。

 事情も、明莉の気持ちも、両方わかるという表情だ。

 それで明莉の肩に手を置き、優しく言う。