家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています

「運が良かったよな。社長令息の玉の輿に乗るなんてさ。どう誘惑したんだか」

 明莉が言葉を発せないのに関係なく、圭二の身勝手な言葉は続く。

 明莉の胸は冷え切って、気分まで悪くなってきた。

 だけどなんとか足を踏ん張った。

 倒れている場合ではない。

「か、勝手なことを言わないで!」

 混乱の中でも絞り出すように言い返す。

 だが優位なのは圭二のほうだ。

 向こうはきっと、明莉の動向を見張っていたのだろうから。

 対して明莉は今、彼の存在と行動を認識して、おまけに好き勝手に言われている。

 メンタルの落ち着き方がまったく違うのだ。

 そして圭二はそれに付け込んでくる。

「事実だろ。なぁ、明莉。ふたつ、提案があるんだけどさ」

 圭二が一歩踏み出す。

 明莉の抱く警戒は、さらに強くなった。

 つい体を引いてしまう。