家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています

「じゃあ、いってらっしゃい。ミカくん」

 十二月に入り、冷え込みも強くなる頃の朝。

 明莉は玄関で巳影の首元にマフラーを巻いていた。

 玄関にはボストンバッグがある。

 巳影はスーツの上に分厚いコートを着込んでおり、明莉が青いチェック柄のマフラーを巻くのを、嬉しそうな微笑で見下ろしていた。

「ああ。なるべく早く帰るからな」

 巳影はちょっと惜しそうな顔でそう言い、明莉に顔を寄せた。

 頬に軽くキスをしてくれる。

 今日から巳影は出張なのだ。

 二泊三日で、新幹線で大阪まで向かう予定である。

 もちろん仕事の一環だ。

 何人かの部下を率いて、大阪にある支社を訪ねると言っていた。

 多忙な巳影自身は年に何回かしか向かえないので、貴重な機会だ。

「うん! 頑張って」

 明莉も巳影が三日もいないというのは寂しかったが、仕事を応援する気持ちも強い。

 にこっと笑って、励ました。