家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています

(side 明莉)


 短い秋が終わり、だんだん冷えてくる季節。

 十二月も近付いた頃のある日、明莉は実家を訪ねた。

 夏に怪我をした母の足も、すっかり良くなった。

 日常生活にはほぼ支障がなくなったそうだ。

 今日は日曜日で、父も家にいる。

 妊娠中の経過を見せるためにも、会いに来たのだ。

 それに結婚式の準備についての報告もある。

「もうだいぶ大きいわね」

 明莉と母はリビングのソファで隣同士、座った。

 明莉のニットワンピース越しにそっとお腹に触れる母は、慈しむような優しい手つきだった。

「うん。たまに動くのがわかるの」

 母からのあたたかな手に嬉しくなりながら、明莉も膨らみがわかるようになったお腹を見下ろした。

「元気に育ってるんだな」

 向かいのスツールに座る父も、感慨深そうににこにこしていた。

 今日は休日なので、父も母も、リラックススタイルのセーターやカーディガンを着た、あたたかそうな服装だ。