家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています

 温泉のあとは、夕食だ。

 部屋にお膳が運ばれてきて、和食のコース料理が始まる。

 二人とも温泉街を歩いて、お風呂にも入って、お腹が減っていたので存分に堪能した。

 料亭とはまた少し違った雰囲気の、秋の味覚の料理が多く、女将がひとつずつ説明してくれるのを、二人は興味深く聞いた。

 そして食休み、明かりが灯って美しい温泉街の夜景を眺める時間……と過ごして、早めに床に入ることにした。

 明莉は妊娠中であるだけで体力を消費するのだし、今日はあちこち動いた。

 早く休んだほうがいい。

 よって明かりを消して、ダブルサイズの布団に潜り込んだ。

「今日はありがとう、ミカくん。とっても楽しかったよ」

 明莉が自然な仕草で巳影に寄り添いながら、お礼を言う。

 とても穏やかな声だ。

 彼女が心身ともに満たされてくれたのを、巳影はそれだけで理解した。

「俺こそ。一緒に楽しんでくれて、ありがとう」

 明莉の肩に触れて、抱き寄せる。

 お腹を圧迫しないように気を付けながら、腕の中にしっかりとくるんだ。