家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています

「はぁー……美味しい!」

 一緒に座ったベンチで、自動販売機で買った麦茶を飲み、明莉は満足げだ。

「湯上がりの明莉は綺麗だな」

 彼女の素直な様子を目にした巳影は、つい心のままに言っていた。

 明莉はきょとんとした顔で、こちらを見る。

 その顔もまた、無邪気でかわいらしい、と巳影の目に映った。

「そ、そう……?」

 続いてはにかんだ顔になる。

 巳影はもちろん、強く肯定した。

「ああ。浴衣もよく似合っている」

「ありがとう……少し照れちゃうな」

 巳影の褒め言葉に、明莉はますます照れたようだ。

 どこが似合っているか、自分はどこをかわいらしく思ったのか、詳細に話したくなりつつも、あまりペラペラしゃべるのも軽く聞こえるかもしれない。

 巳影は少し抑えておいて、それでも綺麗だと感じた気持ちを伝えた。

 くすぐったそうにしつつも、明莉は確かに嬉しそうに聞いてくれる。

 休憩所のベンチに隣同士で座る二人は、そんな会話でまったりした時間をしばらく楽しんだ。