家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています

 ペットボトルの冷たいお茶をお供に待つうちに、廊下のほうから声がかかる。

「ミカくん! ごめんね、待たせちゃったよね!?」

 浴衣姿になった明莉だった。

 ちょっと焦った様子で、近付いてくる。

 その姿を見て、巳影はドキッとしてしまう。

 湯上がりの明莉はとても艶っぽかった。

 頬はお湯にあたためられて、上気して火照っているし、髪も乾かしたようだが、ほんのりしっとりして見えた。

 お風呂上がりは家でもずっと見ているが、こういう状況で目にするのは特別感があり、巳影をドキドキさせた。

「いや、待つのも楽しいよ。お風呂、どうだった?」

 微笑を浮かべた巳影に、明莉はほっとしたようだ。

 巳影のすぐ前までやってきて、楽しげに話し始めた。

「すごく良かった! 女湯は今、一人だったから、独り占めしちゃった」

 心から嬉しそうに、お風呂がどんなに良かったかを話す。

 どれほど楽しんでくれたのかは、この様子だけで巳影にもよくわかった。