家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています

 夕方が終わる頃には旅館に戻った。

 少し休憩を取ったあと、向かったのはもちろん温泉だ。

 明莉の体を考えて、露天風呂はやめておくことにした。

 もう外は気温が低いのだし、巳影と離れているときに、なにかあってからでは遅い。

 よって室内の温泉を、それぞれ男湯と女湯で楽しむ。

 巳影が入った男湯はお客も少なく、ゆったりとお湯を堪能できた。

 お風呂場に漂う硫黄の香りが快く、たっぷり張られたあたたかなお湯でリラックスできた。

 満足してお風呂を上がったあとは、明莉と待ち合わせをしていた休憩所へ向かう。

 女性はお風呂上がりに色々ケアがあるから、自分が待つのはわかっていた。

 よって宿の浴衣を着た巳影は先に飲み物だけ買い、お風呂上がりの心地良さを味わいながら明莉を待った。

 待つのも良いものだ、と思う。

 相手のことを考えながら過ごせる時間になるからだ。