家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています

「和紅茶ですので、すっきりとして飲みやすいですよ。今日はご旅行で?」

 スタッフの彼女は親しみやすい笑みを浮かべて、二人に聞いてくる。

 もちろん二人は頷いた。

「ええ。新婚旅行も兼ねて……」

「おや、新婚さん。それは素敵ですね」

 巳影の説明に、彼女は口元に手を当てた。

 しわのある顔に浮かぶ笑みが、さらに濃くなる。

「ありがとうございます! 実はもうすぐ出産するので、安定期のうちにと思って来たんです」

 褒められて、明莉ははにかんだようだ。

 でも嬉しそうな様子で、もうひとつの事情も口に出す。

「まぁ~! それは余計に素敵ですね!」

 スタッフの彼女の様子もさらに輝いた。