家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています

「持たせちゃってごめんね」

 紙袋は巳影が持った。

 自分は小さなショルダーバッグだけであることに明莉は気が引けたようで、謝ってきたけれど、妊娠中の明莉に荷物を持たせるわけがない。

 巳影は笑顔で否定した。

「いいや。このくらい軽いものだ」

 そのように言ったために、明莉も笑みを浮かべる。

「ミカくんは本当に優しいな」

 あたたかなやり取りをしながら、街の奥へと進んだ。

 お土産を見繕ったり、蒸したての温泉まんじゅうを食べたり……どこで過ごしても楽しかった。

 夕方になる頃、最後にやってきたのは足湯の店だ。

「足湯だと、二人で入れて良いねぇ」

 岩づくりの大きな足湯の前で、明莉は靴下を脱いで、期待の声で言う。

 巳影も同じようにしながら、同意だった。

「そうだな。一緒に楽しめて嬉しい」

 ロングパンツの裾もまくって、足を出す。

 支度もできたので、木でできたベンチに隣同士、腰掛けた。