家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています

 お腹も落ち着いた二人は、温泉街へ向かう。

 温泉街は土産物屋を中心に、食べ物屋や名産の品を扱う店など、様々な店が並んでいた。

 平日であるために空いていて、ゆっくり見て歩くことができた。

「干物とか、乾物を買おうかな? 毎日のお料理がもっと美味しくなりそう」

 魚を扱う店の前で、明莉がそんなふうに興味を示した。

 巳影も同意だった。

 明莉のつわりが酷い頃に始めた料理は、今でも続けている。

 最近では、料理をするのは主に休日だが、それでも明莉は「美味しくなってる!」とたくさん褒めてくれる。

 だから巳影も、つい張り切ってしまうのだった。

「いいな。わかめとか、かつお節とかも、あったら良さそうだな」

 隣にちょうど、わかめや海苔などを扱う昔ながらの乾物屋もあったので、普段の料理の話をしながら、あれこれ選ぶ。

 まだやってきたばかりなのに、あれもこれも欲しくなってしまい、結局紙袋いっぱいに買い物をした。