家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています

 当日、二人は午前中に家を出た。

 巳影の運転する車で出発する。

 今回の旅行は一泊二日の予定だ。

 明莉のためにも、混んでいないほうが良いと思った巳影は休暇を取った。

 そのために、朝のラッシュも過ぎた道は順調に走ることができて、予定時刻より早く目的地に到着した。

「素敵だね……! まさに温泉地! って感じ!」

 まず荷物を置くために、旅館の駐車場へ停めた。

 車から出てすぐ、明莉は眼下に見える景色を見て明るい声を出す。

 旅館は高台にあるので、街が見下ろせるのだ。

「ああ。風情があるな」

 車から荷物を下ろした巳影も、彼女の隣まで行って同意する。

 薄手のコートと、ワインレッドのAラインワンピースを着た秋らしいスタイルの明莉にそっと寄り添う。

 今日は休日だから、巳影もカジュアルなジャケットに綿パンツというラフな格好だ。

 風景を眺めたあとは、旅館へ向かい、チェックインする。

 荷物を預かってもらった。