家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています

「ゆったり過ごすために、温泉地とかどうかなと……。前に好きだって言ってたから」

 画面には近郊の温泉地まとめが載っている。

 受け取った明莉はきらきらした顔で画面を見始めた。

「うん! 温泉大好きだよ! ぜひ行きたい!」

 声も同じく弾んでいた。

 素直な喜びの表現に、巳影の頬も緩む。

 彼女のこういう無邪気な顔に接すると、愛おしく思う気持ちは簡単に高まるのだ。

 行き先はあっさり決まった。

 二人でタブレット端末を覗き込み、あれこれページを見ながら、「この施設が良さそう」「こっちは露天風呂がある」などと検討を始める。

 楽しい計画は夜が更けるまで続いた。

 そして数日後、車で二時間ほどの温泉地へ出掛けることに決まった。

 出掛けるのは十一月の頭だ。

 早ければ紅葉も少し見られるかもしれない、と期待はいくつも出てきて、楽しみは募る一方だった。