家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています

(side 巳影)


 厳しい暑さもゆっくりと引いていき、十月に入る頃には完全に秋の気候になった。

 巳影が毎日着るスーツも通年ものに替わる。

 暑さを気にしなくて良いので、過ごしやすい季節だ。

 もちろん明莉にとっても同じらしい。

 妊娠中の明莉を常に気にかけている巳影だが、明莉の体調も良いようだった。

 安定期であるために、極度に体調が悪い日は少なそうに見える。

 そんな中なので、巳影はある夜、ひとつ提案をした。

「小旅行……!? 素敵!」

 お互いお風呂も済ませ、リビングで寛いでいた時間に巳影が切り出したことに、明莉は目を輝かせた。

 明莉のお腹もだんだん膨らんできて、服の上でもかすかに膨らみがわかるくらいになっている。

 その様子を愛おしく思いながら、ソファの隣に座る巳影は、少し座り直した。

 彼女の隣に寄り添う位置になる。

「ああ。新婚旅行がまだだし、近場にはなるが、明莉の体調が安定しているうちに、どうだろうと思ったんだ」

 説明して、テーブルに置いておいたタブレット端末を取り上げる。

 あらかじめ調べていたページを出して、明莉のほうへ差し出した。