家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています

「ごめんね、お待たせ」

 急いで美花に近付いて、声をかける。

「どうかした? なにか話してたみたいだけど」

 美花が気にしてくれたけれど、今の話ではなにも確定していない。

 ただ心配をかけるだけだろう。

 だから明莉は笑ってみせた。

「お店のことについて話しただけだよ。大丈夫」

「それならいいけど……」

 そう説明したが、美花はちょっと消化不良という顔だった。

 それに明莉としても、心の隅に引っかかった。

 なにもなくても、心当たりのない男性から見られていたというのは、やはり不安を覚える。

 だけどいたずらに美花を心配させることはないのだ。

 二人はそのままカフェを出た。

 予定通りに美花がマンション前まで送ってくれて、今日の楽しい日にそれぞれお礼を言って、お茶の時間はおしまいになった。