家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています

 明莉は彼女の気遣いに感じ入ったが、言われたことに関しては首をひねるしかなかった。

 思い当たる人物などいないし、やましいこともない。

(……話の内容でも気になったのかな?)

 とりあえず、そう思っておくことにした。

 肩を縮める彼女を安心させるように、笑みを浮かべてみせる。

「お気遣いありがとうございます。特に思い当たることはないかなと……。でも言っていただいて、良かったです」

 彼女に向かって、心からお礼を言う。

 彼女は安堵した顔になった。

「そ、そうですか。では、ありがとうございました。お気をつけて」

 お会計を本当に終わらせることを言うので、明莉も頷いた。

「はい。ごちそうさまでした」

 軽く挨拶をして、美花のほうへ向かった。

 美花は手持ち無沙汰な様子で出口の前に立っていた。

 明莉のお会計に時間がかかったからか、少し心配そうだった。