家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています

「ありがとう! 見守ってくれたらそれだけで嬉しいけど、受付とかスピーチとかはお願いするかも」

「もちろん喜んで引き受けるよ!」

 そんな優しい会話が交わされる。

 お茶をお供に話していたのは、一時間少々だった。

 以前ならもっと長々とおしゃべりをしたけれど、今日は早めに切り上げる。

 安定期に入っても、やはり体に負担はあるので疲れやすいのだ。

 実際、そろそろ家に帰って休みたい気持ちが生まれていた。

「そろそろ行こうか。おうちの前まで送るね」

 美花が伝票を取り上げて言い、明莉は恐縮したものの、嬉しい気持ちになった。

「え、いいの? ありがとう」

 やり取りしながらカウンターへ行き、お会計を済ませたのだけど……。

「あの、お客様……」

 払い終えたとき、お会計をしてくれた店員が、少し言いづらそうに切り出した。