家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています

 巳影の料理は味よりも、彼が頑張って作ってくれた気持ちによって『美味しい』と感じられる。

 少しずつ食べる度に、明莉は強い幸せを感じるのだった。

 妊娠四ヵ月に入る頃には、両親と、巳影の祖父母にも報告した。

 両親、特に母は明莉が「体調が落ち着かなくて、しばらく付き添えないかも」と言った言葉から薄々察していたようだけど、報告したときは、涙を流して喜んでくれた。

 明莉まで涙ぐんでしまい、巳影に優しく肩を抱かれたくらいだ。

 そして妊娠四ヵ月が過ぎて、明莉の体調も少しずつ落ち着いてきた。

 九月の半ばに入る頃には、吐き気や体調の悪さを感じる日もかなり減って、外出も苦痛ではなくなった。

 安定期に入ったためだ。

 検査でも毎回、問題ないと言われていたし、明莉の体も気持ちも落ち着いていた。

 久しぶりに友達の美花と会ったのは、暑さもだいぶ引いてきた、九月終わりの頃だった。