家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています

 当初、二人の結婚は一年間を前提とするつもりだったから、結婚式は考えていなかった。

 だがあれ以来、気持ちはきちんと通じ合った。

 だから巳影は前向きに「ぜひ、式を挙げよう」と提案したし、明莉も頷いてくれた。

 早速ウエディングドレスのカタログや、webサイトをいくつも見ているくらいである。

「はい、すぐにご連絡します」

 そんな明莉のほうを見て、微笑ましい思いになりながら、巳影は力強く頷いた。

 辰巳が言った通り、式の日程はまだ調整中だ。

 今のところ、来年の春頃という候補が濃厚だった。

 現在が夏であり、準備には大抵一年近く、時間がかかるからだ。

「巳影に奥さんができるだけでも喜ばしかったのに、式にまで参列できるとは……。長生きをして良かったよ」

 辰巳はそこまで言ってくれた。

 巳影の胸が熱くなってしまう、優しい見守りの言葉だ。

 明莉も同じように受け取ったようだ。

「ありがとうございます、おじいさま」

 感じ入った、という表情を浮かべて、噛みしめるように言ってくれた。