家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています

 その明莉の態度を見て、圭二は呆れたような表情を浮かべる。

「なんだ、呑み込みが悪いな。ま、なにも変わらないだろ。この家にはお前がそのまま住んでいいし」

 そうして腰を上げた。

 段ボールも両腕で持ち上げる。

 立った姿勢から明莉を見下ろした。

「じゃ、詳しい話はまた、改めて」

 そう言って、スタスタ歩いていった。

 自室に戻るのだろう。

 リビングのドアを開けて、出ていった。

 でも明莉は呆然とソファに座ったままになるしかなかった。

 頭の中は痺れていた。

 ただわかったのは、自分は捨てられたのだということだ。

 裏切られていた。

 ずっと……圭二が言うなら、半年も……。

 つぅっと、頬になにかが伝った。

 ぽたっと膝に雫が落ちてから、明莉はやっと理解する。

 明莉の思考が追い付く前に、心は傷つけられたのを理解したのだろう。

 流れた涙は心から直接湧いて、零れたように感じられた。